ビジネススタイルの軟化が進む中で、仕事着やスーツの足元にスニーカーを合わせるスタイルも、だいぶ市民権を得てきました。
しかし、「やっぱりビジネスシーンの足元は革靴でキメたい」と思うのは私だけでしょうか。
柔らかい履き心地に心が強く揺さぶられるものの、「やっぱり革靴の上品さや格式高さ・不器用さに憧れてしまう」のは私だけでしょうか。
いや私以外にもきっといるはずだ。
……と信じることにしまして、今回の記事では、革靴選びのポイントや、おすすめ革靴ブランド・メーカーを紹介していきます。
割と、自分用のメモとして、まとめた面もありますが、
「選ぶときのポイントがあったりする? 何でもOK?」
「どのブランドがオススメ? やっぱり日本ブランド?」
「ブランドの数が多すぎるから、ブランド毎の特徴を知りたい」
といった悩みや疑問を持っている方のお手伝いができれば幸いです。
CONTENTS
革靴選びのポイント
革靴のブランドを紹介する前に、皆さんの中に選ぶ基準があったほうがスムーズだと思いますので、まずは選びときのポイントから紹介していきます。
1足目の革靴なら「黒の内羽根ストレートチップ」で決まり

1足目の革靴を購入するのであれば「黒の内羽根ストレートチップ」で、決まりです。
……というのも、この「黒の内羽根ストレートチップ」という革靴は、ビジネス~冠婚葬祭まで万能に対応可。
そのため、1足用意しておくだけで「これを履いときゃOK!!」ということで、マナー的に困る場面がなくなるのです。
社会人ならば、必ず1足は用意しておきたいですね。
2足目以降は汎用性に気を配りつつ、好みを反映していこう
すでに黒の内羽根ストレートチップを持っている方が、2足目に何を選ぶのか。
更にフォーマルな革靴がほしいなら「黒のプレーントゥ」

もう一足フォーマルな革靴が欲しいときには「黒のプレーントゥ」がオススメ。“つま先部分がツルッとシンプル”なのが特徴です。
プレーントゥも着用可な場面が多い万能デザイン。可能ならよりフォーマルな「内羽根プレーントゥ」を探すべきですが、楽な履き心地を優先した「外羽根ストレートチップ」でも大丈夫でしょう。

外羽根の方が羽根のピラピラしているためカジュアルなのですが、甲高な足でもフィットする特徴があります。
カジュアルな職種~休日履きもできる「フルブローグ」「Uチップ」

1つ上で紹介したプレーントゥとは対照的に、靴全体に穴装飾(ブローグ)が施されたカジュアルデザインを「フルブローグ」と呼びます。
お堅くない職場から休日デートのコーディネートまで対応できるデザインなので、ちょっと革靴でもお洒落プラスしたいときにピッタリです。
なお、カジュアルなデザインなので冠婚葬祭での着用はできません。

また、同じようにカジュアルな職種~休日まで対応しやすい革靴には「Uチップ」があります。つま先にU字の装飾があるデザインで、こちらは比較的多く目にしたことがあるのではないでしょうか。
凡庸デザインのようで、U字部分のステッチに一工夫したり、ミリ単位の凄まじい職人技を叩き込んできたりと、ブランドの色が強く出るデザインでもあります。
エレガントな奴がほしいなら「ダブルモンクストラップ」

2つの金属バックル&ベルトで締まりを調節するデザインを「ダブルモンクストラップ」と呼びます。
他の革靴にはない金属パーツの存在が実にエレガントで、比較的履いている割合が少ないため、周囲とは違う印象を演出することも。
葬祭での着用はできませんが、それ以外のシチュエーションで幅広く活躍してくれますよ。※就職活動では「生意気ッ!」と受け取られる可能性もあるので止めておくのがオススメです。
サイズはジャストサイズが原則
革靴を購入するときは「正しい採寸」と「足がむくむ時間帯の採寸・試着」をこころがけて、「ジャストサイズ」を選ぶようにしましょう。
特に外回りが多い人は、ゆるい靴を履いていると全身の歪みにつながるので要注意です。
甲高タイプであるが故に「履いていて痛みが……」という人は、ゆるい靴のサイズを選ぶのではなく、足の高さを許容してくれる「外羽根」の革靴を購入することで対応するのがオススメです。

耐久性や履き心地に関わる製法もチェック
革靴の製法も、革靴を選ぶときの醍醐味の1つ。
革靴の製法の違いとは、ズバリ「ソール(靴底)」のくっつけ方の違いです。
靴底を直接縫い付けるのか。
中継パーツを加えて縫い付けるのか。
はたまた接着材でくっつけるのか。
その違いによって、耐久性や履き心地だけでなく見た目の印象も変わってくるため、しっかりチェックしましょう。

まずはざっくり紹介|人気革靴ブランド・メーカーを偏見で語るとこんな感じ
革靴の選び方をおさえたところで、おすすめの革靴ブランドと人気モデルを紹介していきます。
ただその前に、この記事の中で紹介するブランドが「要するに“こんな”ブランド」ということが分かるように、まずはザックリ紹介していこうと思います。
安心&定番な、日本の革靴ブランド・メーカー
リーガル
日本製革靴の王道。視える部分には最高級素材を。視えない部分にはスペックを満たす格安素材を。という具合に合理的な靴づくりを進めている。
大塚製靴
皇室御用達。国内にドレスシューズを定着させた、日本最古の紳士靴メーカー。時代の潮流を読み取り、レザースニーカーにも着手済。
三陽山長
“職人の技”と“最高の素材”を惜しみなく全力投入して最高のクオリティを追及。世界に誇る、日本の高級革靴ブランド。
革靴の聖地イギリスの革靴ブランド・メーカー
クロケット&ジョーンズ
下請け時代にノウハウを積み上げていたら、気付けば世界一のノウハウをもつメーカーと呼ばれるようになっていた。現在、ジェームズボンドの足元を守っているブランドでもある。
ジョセフチーニー
最初の英国革靴を探すなら、まずはココ。親会社ごとプラダに買収されたと思ったら、親会社の元経営者にチーニーだけ買収されるという人気メーカー。
フランスやスペインなど、世界各国の人気革靴ブランド
ジャラン・スリウァヤ(ジャラン・スリワヤ)
インドネシアの革靴ブランド。機械縫いが進む時代の中で絶滅危惧種になった「手縫い靴」を破格の3万円代で購入できる数少ないブランドの1つ。
バーウィック
イギリス革靴の堅牢性とイタリア革靴の色気を両立させた「THEスぺイン革靴」を、とにかく合理的に生産(素材の大量調達。最新機材の投入 et.)。価格も比較的安いので革靴初心者向き。
オールデン
アメリカの革靴文化をけん引してきた存在。“革のダイヤモンド”ことコードバンを生産していたメーカーのピンチを「2年分の革を一括購入」して救った逸話は有名。
パラブーツ
フランスでは「大人になったらパラブーツを履け」と言われるほどのフランス国内に広く浸透。登山靴由来の製法なので、それはもう頑丈。
トリッカーズ
英国王室御用達。1足を1人の職人が最初から最後まで担当!! カントリーシューズといえばトリッカーズ。
カルミーナ
スペインの高級革靴ブランド。革靴本家ともいえるイギリス以上のグッドイヤーウェルト製法を操る。
ロマンもいいけど、コスパを重要視したい堅実派な方に勧めたい革靴ブランド
ジーノ
楽天ランキング上位の格安革靴ブランド。「革靴として履ければよし!!」な人に大人気。ソール裏にさりげなく装飾を入れるなど、意外とこだわる。
ジンク
お財布に負担は欠けたくないけど、本革のクオリティは維持したい層をピンポイントで狙う。ある程度の見栄えがないと困る状況(冠婚葬祭 etc.)が差し迫ったときの救世主。
テクシーリュクス
革靴のデザインとスニーカーの履き心地を合わせた、コンフォートシューズを展開。この価格帯では最高峰。最近フォーマルなラインナップを展開開始。
革靴を追及する者がたどり着く終着点的ブランド
ベルルッティ
フランスの革靴ブランド。革靴というよりも、もはや芸術品と思いたくなるようなモデルを販売する。革靴界隈の嗜好品の極致の1つ。
ジョンロブ・ロンドン
世界で最も格式高い革靴ブランド。いわゆるキングオブ革靴。ビスポーク靴(オーダーメイド靴)のみを仕立てているので、イギリス現地の実店舗で注文しないと買えない。
おすすめの人気革靴ブランドと定番モデル13選
ここからは人気革靴ブランドの定番モデルなどを紹介していきます。
実際に購入を検討するときの参考にしてみてくださいね。
※各商品の価格は2021年1月14日時点でのものとなります。
大塚製靴|皇室御用達。明治5年から日本人の足を守り続ける日本最古の紳士靴メーカー
装飾が無いプレーントゥの特徴が活かされ、継ぎ目のない“革のダイヤモンド”・コードバンの質感を楽しむことが出来ます。
靴底のエッジを薄く削ることで、対面したときのエレガントさを高める「ヤハズ仕上げ」など、職人技も光っています。
デザイン | 内羽根プレーントゥ |
色展開 | バーガンディ、ブラック |
製法 | グッドイヤーウェルト製法 |
REGAL(リーガル)|日本革靴の王道ブランド
昭和44年から現在にいたるまで長く愛されているロングセラーアイテム。
リーガルが初めて合成ゴムソールを採用したメモリアルモデルでもあります。
デザイン | 外羽根プレーントゥ |
色展開 | ブラック |
製法 | グッドイヤーウェルト製法 |
三陽山長|最高のクオリティを徹底的に追及する高級革靴ブランド
普遍的に愛されるよう、“フツウ”のデザインを極める一方で、靴ひもの穴の横を走るステッチで白鳥の首を彷彿とさせる曲線を描くなど、ディティールにもこだわっています。
デザイン | 内羽根ストレートチップ |
色展開 | ブラック |
製法 | グッドイヤーウェルト製法 |
Crockett&Jones(クロケット&ジョーンズ)|世界で最も多くのノウハウを持つとされる、革靴ブランド
2002年に誕生した名作ラスト(足型)337と、ブランド史上最も有名なモデル・オードリーを組み合わせた一足です。
フィット感の高さと、トレンドに流されないつま先の“フツウ”な長さが特徴的です。
デザイン | 内羽根ストレートチップ |
色展開 | ブラック |
製法 | グッドイヤーウェルト製法 |
JOSEPH CHEANEY(ジョセフチーニー)|純英国産にこだわりつつ、トレンドを捉える英国ブランド
2011年に開発された足型125を採用しているため、日本人を含めた現代人にフィットするのが特徴です。
ダイナイトラバーソールを採用しているため雨天に強い特徴もあります。
デザイン | 内羽根ストレートチップ |
色展開 | ブラック |
製法 | グッドイヤーウェルト製法 |
Jalan Sriwijaya(ジャラン・スリウァヤ)|手縫い靴を破格の3万円代で展開するインドネシアの革靴ブランド
ハンドソーンウェルト製法の革靴を3万円代で購入できる数少ないブランドの1つです。
フランス産のカーフレザー。イギリス産のダイナイトラバーソールを採用したモデルになります。
デザイン | ダブルモンクストラップ ストレートチップ |
色展開 | ブラック |
製法 | ハンドソーンウェルト製法 |
Berwick(バーウィック)|本格革靴の入門候補の1つ。スペインの革靴ブランド
ブランドロゴの「1707」は、ブランド名の由来でもある「バーウィック侯爵」が功績をあげたアルマンサの戦いが勃発した年を指しています。
素材の大量調達や最新設備投入などでコストパフォーマンスを上げており、本格革靴としてはお手頃な価格で販売しています。
デザイン | 内羽根フルブローグ |
色展開 | ダークブラウン |
製法 | グッドイヤーウェルト製法 |
Zeeno(ジーノ)とりあえず革靴として履ければOK!! な人に人気
ロマンやクオリティよりも「とりあえず履ければOK」と割り切った紳士に向けた格安革靴を生産・販売しています。
ただの安物靴かと思いきや、ソールの裏にこっそりお洒落な装飾を施すなど、安さの中にもちょっとしたこだわり・遊び心が視えるのがニクいですね。
デザイン | 外羽根プレーントゥ、ダブルモンクストラップ、セミブローグ |
色展開 | ブラック、ダークブラウン、ライトブラウン |
製法 | セメント製法 |
ZINC(ジンク)|安くていいけど、天然皮革のクオリティはキープしたい層を狙い撃ち
とにかく値段を下げつつも、天然皮革を採用したり、雨を弾く加工を施したり、履き口にスリットをいれて着脱をサポートしたりと、細かなこだわりが◎。
●●万円する革靴を購入するまえの準備段階として購入するのもオススメです。
デザイン | 内羽根ストレートチップ、外羽根プレーントゥ etc. |
色展開 | ブラック、ブラウン、ライトブラウン etc. |
製法 | セメント製法 |
texcy luxe(テクシーリュクス)|革靴の見た目とスニーカーの履き心地を融合したコンフォートシューズを展開
革靴デザインとスニーカーの履き心地を融合させたコンフォートシューズ(革靴スニーカー)を展開しており、この価格帯としてはかなり満足感が高いクオリティに仕上がっています。
デザイン | 内羽根ストレートチップ |
色展開 | ブラック、ブラウン、ワイン |
製法 | セメント製法 |
Paraboot(パラブーツ)|フランス国民に愛される革靴ブランド
登山靴由来のノルヴェイジャン製法を採用しているため、水に強く頑丈。
全体的に“ぽってり”したシルエットなので、ガチガチのスーツよりもジャケパンスタイルやカジュアルコーデの足元を任せたい一足です。
デザイン | 外羽根Uチップ |
色展開 | ブラック |
製法 | ノルヴェイジャン製法 |
Tricker’s(トリッカーズ)|1足を1職人がすべて担当する、英国王室御用達ブランド
ダイナイトラバーソールを採用することで雨道での滑りを防止。つまさきと履き口に余裕があるデザインは、非常にボリュームがありますね。
デザイン | 外羽根フルブローグ |
色展開 | ブラウン |
製法 | グッドイヤーウェルト製法 |
ALDEN(オールデン)|革のダイヤモンド・コードバン革靴の代名詞
アメリカの革靴文化をけん引した存在ともいた、医療用矯正靴を発表して注目された歴史もあります。
“革のダイヤモンド”ことコードバンといえば、オールデン。。。というぐらい、革靴界隈ではコードバン革靴の代名詞として知られています。
デザイン | 外羽根プレーントゥ |
色展開 | ブラウン |
製法 | グッドイヤーウェルト製法 |
Berluti(ベルルッティ)|嗜好品としての革靴の極致
ホールカットとは、複数の革パーツを繋ぎ合わせるのではなく、1枚の革を贅沢につかって仕立てられた革靴のこと。
今回紹介する一足はストレートチップのように見えますが、レーザープリントで“それらしい凹み”が刻印されているだけで、実は踵(かかと)部分にしか繋ぎ目がありません。
ベルルッティしか使用できないとされるヴェネチアレザーも勿論採用。革靴というジャンルにおける“嗜好品の極致”といえる一足に仕上がっています。
デザイン | 内羽根ホールカット |
色展開 | ブラック、ブラウン |
製法 | マッケイ製法 |
CARMINA(カルミナ)|スペインを代表する高級革靴メーカー
グッドイヤーウェルト製法でありながら、靴を真上から見たときハミ出て見える靴底(コバ)のでっぱりを最小限に抑えているため、非常にスリムな印象に仕上げられています。
また、繋ぎ目であるステッチを表に出さない「レベルソ仕上げ」であるため、非常にフォーマル。
デザイン | 内羽根ストレートチップ |
色展開 | ブラック |
製法 | グッドイヤーウェルト製法 |
おわりに
以上、革靴選びのポイントと、おすすめの革靴・ビジネスシューズブランドを紹介・解説しました。
参考になりましたでしょうか?
時代の流れもあって、革靴は「履こう!」「買おう!」「欲しい!」という強い意志やこだわりがないと、日々の生活とは、あまり縁がない物の1つになってきました。
なので、今回の記事を通して皆さんの革靴に冠する悩みや疑問を解消しつつ、革靴に対しる興味が湧いたり増していたり、とても嬉しいです。
是非、皆さんが求める理想の革靴を見つけてくださいね。
『紳士のシャツ』編集部の大山が
お送りしました。
ではまた。