飾り気のない、まっさらなトゥ(つま先)が特徴の「プレーン・トゥ」。
革靴初心者には、シンプル故に幅広いシーンで着用できる、“便利な汎用革靴”として。
革靴上級者には、シンプル故に素材やシルエットにこだわるだけ差が出るという“深みのある靴”として、幅広い層から支持を集めています。

今回の記事では、プレーントゥの「シンプル故に汎用性が高い」という特徴にフォーカスして、基本知識やおすすめモデルを紹介していきます。
「プレーントゥって結婚式でも履ける? ……お通夜は?」
「プレーントゥを探すと、何か色々バリエーションがあるけど、何が何だかわからなくて、、、」
プレーントゥに関して、そんな疑問・悩みをお持ちの方のお手伝いが出来れば幸いです。
CONTENTS
プレーントゥとは・・・?
まず初めに、プレーントゥの基本知識を解説していきます。
TPOとも密接にかかわってくる部分なので、ぜひチェックしてみて下さいね。
つま先に装飾がない、革靴デザインの“総称”
「プレーントゥ」は、つま先(トゥ)に装飾がない革靴のデザインの総称です。

つま先に「横一文字」があればストレートチップ。つま先に「W字」があればウイングチップ。
そんな具合に、革靴の多くは、つま先のデザインによって様々な呼び分けをしていきます。
ここで脱初心者としてポイントなのが、これらは「つま先デザインの呼び名」であるということ。
革靴は主に「つま先のデザイン」と「足の甲のデザイン」の組み合わせで、最終的なTPOが左右されます。
つまり、プレーントゥも「足の甲のデザイン」との組み合わせ次第で、“葬祭OKなプレーントゥ”と“葬祭NGなプレーントゥ”に分かれてしまうのです。
足の甲デザインとの組み合わせで特徴やTPOが変わる
では次に、プレーントゥと「足の甲のデザイン」の組み合わせについて解説していきます。
つま先のデザインと同じように、足の甲デザインにも色々と種類がありますが、最低限のTPOをおさえるのであれば、ざっくり3つ。見識が広げるために、更に2つ。合計5つの組み合わせをおさえておけば十分といえます。
では1つずつチェックしていきましょう。
1.【幅広いシーンで活躍】外羽根プレーントゥ
プレーントゥと「外羽根」を組み合わせたパターンです。一般的に「プレーントゥ」といえば、大体この組み合わせです。

本来なら、外羽根の革靴はカジュアルであるため冠婚葬祭には向かないのですが、外羽根プレーントゥは結婚式の着用もOKであるとされています。
ただ、主賓であったりスピーチ役を任されている立場であるならば、プレーントゥであっても、このあと紹介する内羽根の方がよりベターですね。

外羽根は構造上、足のタイプを問わずフィット感が得やすいため、ワークシューズなどでも採用されることが多いという特徴があります。
2.【フォーマル度高し】内羽根プレーントゥ
プレーントゥと「内羽根」を組み合わせたパターンです。
外羽根よりもフォーマル度は上。ただ、外羽根プレーントゥも十分フォーマルであることに加えて、外羽根の方が足が楽(フィット感が得やすい)ため、内羽根プレーントゥは正直あまり見かけない印象があります。

内羽根は、英国王室に起源がある靴ひも周りの仕様であるため、その歴史的背景からもフォーマル度が高いという特徴があります。
ただ一方で、その構造上「高さのキャパシティ」が外羽根よりも小さく、足の甲が高いタイプの人だとそもそも履けないといった事態も起こりえます。
足の甲が高い自覚がある人は、購入確定前に必ず試着することを忘れないようにしてくださいね。

3.【金属バックルがエレガント】モンクストラップ・プレーントゥ
プレーントゥと「モンクストラップ」を組み合わせたパターンです。
モンクストラップも革靴全体を指す言葉として使われがちなのですが、正確には「足の甲デザイン」を、より厳密には「足の甲を締める仕様」を指す言葉です。

金属バックルの存在により、他の革靴とは一味違うエレガントさがあるのが何よりの特徴です。
ただ、この金属バックルのせいでTPOが若干ややこしく、、、
- ビジネス、OK!
- 結婚式、OK!
- 葬祭、NG!
- 就職活動&転職活動、おすすめしない(生意気ととられる危険性アリ)
という具合になっているため、失敗したくないシーンでモンクストラップ・プレーントゥを履くときは忘れずにチェックするようにしてくださいね。
4.【製作に職人技必須】ホールカット
おまけで知っておきたいのが「ホールカット」。
一般的に革靴は、複数枚に裁断された革を繋ぎ合わせて、立体的な足を包む形を作り上げていきます。しかし、このホールカットは“たった1枚の革を継ぎ接ぎ無し”で立体的な靴に仕立て上げます。

生産側にとってもハードルが高い革靴であるため、いわゆる安いホールカットというものは、ほとんど流通していません(安くできないんですね)。
着用するだけで1つ、他のビジネスマンと差がつくホールカット。こだわりの革靴を探している時にはオススメですよ。
5.【革靴だとレア?】スリッポン・プレーントゥ
比較的珍しいのが「靴ひもを結ばないスリッポン」とプレーントゥの組み合わせ。キャンバス地のカジュアルシューズだったりすると珍しくもないのですが、革靴だとあまり見かけない組み合わせですね。

冠婚葬祭は勿論のこと、ビジネスシーンにもちょっと不向き。普段のカジュアルスタイルを1つドレスアップするときのアイテムとして最適ですね。

プレーントゥのおすすめモデル8選
プレーントゥに対する認識の解像度が上がったところで、おすすめのモデルやブランドを紹介していきます。
実際にプレーントゥを購入するときの参考にしてみてくださいね。
※掲載している価格などの情報は、2020年8月27日時点でのものとなります。
昭和44年から愛され続けるロングセラープレーントゥ
昭和44年発売から販売され続けている人気ロングセラーモデルで、リーガル自身にとっても「初めて雨道でも滑りにくいラバーソールを採用した」メモリアル的な存在です。
履き込むほど靴が足に馴染む「グッドイヤーウェルト製法」で仕立てられているため、末永く付き合っていく革靴を探してる人にはオススメですよ。
足の甲のデザイン | 外羽根 |
足の甲の素材 | 天然皮革 |
靴底のタイプ | ラバーソール |
コスパ抜群!! ハンドメイドの本格革靴を破格の3万円で探している人へ
職人のハンドメイド革靴を3万円代で購入できるのは破格。
今回は、同じモデルでも、クラシックテイストのレザーソール版と、雨道でも滑りにくいダイナイトソール版が展開されているので、両方ご紹介しますね。
足の甲のデザイン | 外羽根 |
足の甲の素材 | 天然皮革(フランス製カーフレザー) |
靴底のタイプ | ダイナイトソール、レザーソール |
「とりあえずプレーントゥ」を揃えなければいけない人へ
革靴クリームやブラッシングといった手間いらずの「合成皮革」を採用。
正直、革靴自体に興味はないのだけれど、プレーントゥを履かなければいけない、、、というビジネスマンにオススメです。
革靴も「高い物を買えばイイ」という物でもありません。必要な物を必要な価格帯で、適切に購入する。それも重要な視点です。
足の甲のデザイン | 外羽根 |
足の甲の素材 | 本革 |
靴底のタイプ | 合成ソール |
革靴の高級感とスニーカーの履き心地を融合したモデル
スポーツシューズのようなクッションソールを採用しているため、外回りが多いビジネスマンにはピッタリです。
ソールが少し厚めなので、冠婚葬祭では着用せず、ビジネスシーンでの頼れる相棒としてご紹介いたします。
足の甲のデザイン | 外羽根 |
足の甲の素材 | 天然皮革 |
靴底のタイプ | 合成ソール |
【皇室御用達】革靴の天敵を克服した、究極のエレガント
明治5年から日本人の足をひたすら追求してきたノウハウがこれでもかと活かされています。
ダイナイトソールという靴底を採用しているため、フラットな見た目をキープしつつ、雨道に強いという、ある意味最強の組み合わせに仕上がっています。
足の甲のデザイン | ホールカット |
足の甲の素材 | 天然皮革 |
靴底のタイプ | ダイナイトソール |
お手軽価格のモンクストラップ・プレーントゥを探す人へ
金属パーツの装飾感に「ハードルが高いなぁ」と感じている人は、まずこのお手軽価格モデルで雰囲気に慣れていくことをオススメします。
自分のお財布だけでなく、革靴への慣れ具合も考えながらステップアップしていきましょう!
足の甲のデザイン | モンクストラップ(外羽根も同じページで購入可) |
足の甲の素材 | 合成皮革 |
靴底のタイプ | 合成ソール |
ビジネスシーンよりも、平日のお洒落をグレードアップするお供として
キャンバス地では見慣れたスリッポンも、素材をレザーにするだけでグァッと大人らしくカッコイイデザインに。
是非、休日のお洒落をよりグレードアップするお供としてお試しくださいませ。
足の甲のデザイン | スリッポン |
足の甲の素材 | 牛革 |
靴底のタイプ | 合成ソール |
創業50年のシューズメーカーが仕立てるモンクストラップ
日本人に合う足型(革靴の形を決める木型)を採用しているため、日本人の足にフィットしやすいよう仕上げられています。価格も約2万円とおさいふに優しいのもありがたいですね。
足の甲のデザイン | モンクストラップ |
足の甲の素材 | 牛革キップ |
靴底のタイプ | ラバーソール |
あとがき
以上、プレーントゥの基本知識とおすすめモデルをご紹介しました。
参考になりましたでしょうか?
革靴に慣れない内は、どうしても「万能ストレートチップ」しか選択肢がないように感じることもありますが、同じぐらいカバー範囲が拾いプレーントゥで、普段の革靴ライフが少しでも豊かになれば幸いです。
以上、『紳士のシャツ』編集部の玄木がお送りしました。
ではでは。