革靴を長持ちさせるために。そして、革靴に“ピカッ”と見栄えのする光沢を与えるために。
革靴クリームは、革靴のケアに欠かすことができない重要アイテムです。
しかし一方で、慣れていない人にとっては
「間違ったクリームを塗ったらヤバそう」
「せっかく購入した革靴をダメにしたくない・・・」
なんて風に、悩んでしまうことも少なくないのではないでしょうか?
私が初めて革靴クリームを塗ったのは高級な革靴ではなく、割とお手軽なレザースニーカーでした。
それでも「間違ったクリームを塗ってしまったら……うわ嫌だなぁ……」と心配してしまった記憶があります。
今回の記事では、「革靴クリームの選び方」や「おすすめの革靴クリーム」、「革靴クリームの使い方」などを解説していきます。
革靴初心者(もしくはレザースニーカー初心者)の方のお手伝いが出来れば幸いです。
そもそも、なぜクリームが必要?
革靴に革靴クリームを塗る2つの理由。
- 長持ちさせるため
- 見栄えをよくする(光沢を出す)ため
です。
2の理由については、好みもあって、そこまで拘っていない人も多くありません。
しかし、1の理由は死活問題。無視するわけにはいかないのです。
革靴は、読んで字のごとく「革」を使った靴のこと。
革は「生きている素材」とも言われ、素材に加工された後も、湿度を適度の吸収・放出する性質と柔軟性に優れています。
が、その一方で、適度に水分や油分を与えないと、ケアを怠った人肌のようにカサカサ&ボロボロになってしまうのです。
最悪の場合割れてしまうなんてことも、、、
革靴の革は正しくケアすれば、数十年単位で長持ちすることもある素材です。
見栄え良くするため、そして長持ちさせるために、革靴クリームは必要不可欠なのです。
革靴クリームの種類は主に3種類
革靴とって革靴クリームが必要不可欠な理由を解説したところで、次は、革靴クリームの種類について解説していきます。
革靴クリームの種類は大きく分けて3つ
- 乳化クリーム
- 油性クリーム
- ワックス
です。
では、各革靴クリームの解説に移っていきましょう。
1.初心者はコレだけでもOKな、万能「乳化性クリーム」
3つに大別できる革靴クリームのなかで最重要なのが「乳化性クリーム」。
革靴をケアしようと思ったら、この乳化性クリームがあればOK!
……というよりも、革靴をケアできるのはこの乳化性クリームだけなので、逆に、このクリームを用意しないとアウトです。本当の必需品というわけですね。
水と油とロウを混ぜて生産される物で、革靴に適度な水分と油分、そして光沢を与えてくれます。
革靴を長持ちさせて、適度な光沢もだせる万能な乳化性クリームですが、「もっとピカッとした光沢をだしたい」ときには力不足。
そんな時は次に紹介する「油性クリーム」を合わせて使うのがオススメですよ。
2.もっと艶めかせたい中級者以上にオススメ「油性クリーム」
とにかく艶・光沢を出したいときに重宝するのが「油性クリーム」。
乳化性クリームの光沢感では満足できないときにオススメです。
あくまでも見栄えを良くするために使用するクリームなので、保湿することはできません。
使用するときは、乳化性クリームセットで保湿した後に使うようにしましょう。
水分を含んでいないため、乳化性クリームよりも硬く、塗りと伸ばしにコツが要ります。
初めて油性クリームを使用する場合は、かかとなどあまり目立たない部分で試すようにしてくださいね。
3.究極にピッカピカな“鏡面仕上げ”を実現する「ワックス」
革靴に、それこそ鏡のような光沢を与えることができるのが「ワックス」に分類される革靴クリームです。ポリッシュと呼ばれることもあります。
ワックスを使った仕上げは「鏡面仕上げ」と呼ばれ、上手に仕上げられた革靴には文字通り鏡のように景色が移り込みます。
少々クセのある油性クリームよりも更にクセがあり、ワックスは「つま先」と「かかと」にだけ塗るようにしましょう。
ワックスは革の表面に薄い膜を作るため、歩いた時に革が曲がるような部分(足の甲の部分 etc.)にワックスを塗ってしまうと、膜が割れて逆に革を痛めてしまうのです。
少々クセがあるけれど、上手く扱えれば革靴の見栄えを1段も2段もグレードアップさせてくれるワックス。革靴クリームになれてきたときに挑戦してみてはいかがでしょうか。
+α.塗りやすさ重視の「デリケートクリーム」
おまけで紹介するのが「デリケートクリーム」。
水分配合を多くした、いわゆる「薄い乳化性クリーム」的な革靴クリームのことで、非常に伸びが良く塗りやすい特徴があります。
一方で、革靴に光沢を与える油分やロウ成分が非常に少なく、光沢はほぼでません。
革靴を光沢させることに特化したワックスとは対極にある、革靴クリームといえますね。
クリームの色は「無色」か「少し薄い色」を選ぼう
革靴クリームの種類をおさえたところで、忘れてはいけない「革靴クリームの色」についてふれていきます。
……とはいっても難しいことはありません。
ブラックの革靴には黒いクリームを。
ブラウンの革靴には、茶色か無色のクリームを。
つまり革靴の地の色と「同じ色(同系色)」か「無色」を塗ればいいのです。
ちなみに、カラークリームを塗るときは、少し地の色よりも少し薄いタイプを選ぶようにしましょう。それで足りなければ濃い色を試せば変に染みにならずに済みますよ。
【種類別】おすすめ革靴クリーム全8選
革靴クリームのことが分かってきたところで、おすすめの革靴クリームを紹介していきます。
初心者にオススメな、乳化性クリーム3選
伸びがよく光沢感もよい『M.MOWBRAY(エム・モゥブレイ)』の乳化性クリーム
乳化性クリームらしい、なめらかな伸びがありながら、重厚な光沢感もあるのが大きな特徴。
ハンドメイド的な製法で採算されていることもあり、革靴を扱うプロや革靴愛好家に愛用されているクリームです。
クリームの種類 | 乳化性クリーム |
色バリエーション | 無色、ブラック、ダークブラウン、ブラウンなど10色以上 |
革靴ケアもオーガニック。ビタミンEで革のクオリティをキープする「コロンブス」の乳化性クリーム
革の劣化を防ぐビタミンEや、潤いを与えるコラーゲンなど、様々な栄養素が入っているのが特徴。
ケミカルよりオーガニック。革靴ライフでもそんなこだわりのある方にオススメです。
クリームの種類 | 乳化性クリーム |
色バリエーション | 無色、ブラック、ダークブラウン、ブラウンなど10色以上 |
革靴ケアもこれで時短!「コロンブス」のスティック乳化性クリーム
この革靴クリーム以外に道具が必要ないので、とにかく時短したい方にオススメ。
「クリーム塗りが大切なのは分かるんだけど、面倒くさくて……」という方は是非試してみて下さいね。
クリームの種類 | 乳化性クリーム |
色バリエーション | 無色、ブラック、ダークブラウン、ブラウン |
より光沢感や革靴ケアに拘りたい人向け、油性クリーム&ワックス3選
レザーケア用品の第一人者「サフィール・ノワール」の油性クリーム
とにかく天然原料にこだわり、油性クリームにも関わらず、光沢だけでなく栄養補給もできる優れものです。
クリームの種類 | 油性クリーム |
色バリエーション | 無色、ブラック、ブラウンなど16色 |
レザーケア用品の第一人者「サフィール・ノワール」のハイシャインポリッシュ
こちらも高級カルナバワックスや蜜ロウなどの天然原料にこだわっています。
全13色と色展開も多いのも嬉しいポイントです。
クリームの種類 | ワックス |
色バリエーション | 無色、ブラック、ブラウンなど7色以上 |
お手軽価格で鏡面仕上げ、「KIWI(キウイ)」の油性ワックス
革靴に艶を与えるだけでなく、防水効果と保革効果も与えてくれるのが特徴です。
ワックスには次で紹介する2,000円越えの商品もありますので、まずは試しにこのワックスを試してみるのをオススメしますよ。
クリームの種類 | ワックス |
色バリエーション | 無色、ブラック、ブラウン |
持っておくと便利かもしれないデリケートクリーム2選
ベタつかないソフトな仕上がりになる、「M.MOWBRAY(エム・モゥブレイ)」のデリケートクリーム
「M.MOWBRAY(エム・モゥブレイ)」のデリケートクリームです。
革に対してツヤとやわらかさを与えつつ、ベタつかなしソフトな仕上がりになるのが特徴です。
革靴は大切に長持ちさせたい。でも、そこまで光沢を求めない方におすすめのクリームです。
クリームの種類 | デリケートクリーム |
色バリエーション | 無色 |
栄養を与えつつリムーバー(汚れ落とし)にもなる、「コロニル」のデリケートクリーム
今回紹介するデリケートクリームは、このクリーム自体が栄養を与えつつも、汚れ落としの役割を担うという変わり種。
「リムーバーを使って汚れを落とすのは、革靴にいいことなのだろうか?」という疑問をお持ちの方はぜひ、お試しくださいませ。
クリームの種類 | デリケートクリーム(汚れ落としも兼任) |
色バリエーション | 無色 |
革靴クリームの使い方
おすすめの革靴クリームを紹介し終えたところで、革靴クリームの使い方についてもふれていきます。
基本は月に1度、革靴クリームを塗ればいい・・・だけど
革靴クリームは基本的に、月に1度塗る程度でOKです。
ただし、少しマニアックなことに触れるのならば、
- 革靴を購入した直後にまず1回
- 購入して1ヵ月間は週に1回
- 購入して2ヵ月以降は月に1回
という頻度が理想。
まず、購入した直後に1回というのは、革靴が完成してから、皆さんの手元に届くまで誰も革靴のことをケアしていない現実があるから。
次に、購入して1ヵ月は週に1回というのは、革靴クリームは革の表面に乗っかっているだけではなくて、内部に染み込んで馴染んでいきます。購入してから1ヵ月に1度スパンに移行する前にベースを作っておくと、革靴の持ちがより長くなるのです。
革靴クリームを塗る手順
では次に、革靴クリームを塗る一連の手順を簡単に紹介します。
まず初めに、シューキーパーを革靴に入れて、この後の作業をやりやすくしましょう。
初めに革靴の汚れを落とします。泥やホコリといった大きな汚れは、ブラッシングで。前回塗りこんだ古い革靴クリームは、リムーバーを使って落としていきます。
汚れを落とした後、乳化性クリームを塗ります。一度にベタァ!と塗るのではなく、米粒大のクリームを少しずつ少しずつ塗り伸ばしていきましょう。
乳化性クリームを塗った後は、5分~10分ほど時間をおいて、クリームが革に浸透するのを待ちましょう。
革靴クリームを塗って5分~10分後にブラッシングをかけて、クリームをより馴染ませていきます。
ブラッシングで革靴クリームを馴染ませた後、布で全体を磨き上げて光沢を出します。
もし油性クリームやワックスを使う場合は、この後にクリームを塗り伸ばし、ブラッシングと布に寄る磨き上げを繰り返していきます。
革靴クリーム以外にあると便利な、革靴ケアグッズたち
シューキーパー
革靴の中に入れて、革靴全体を固定するグッズです。革靴の型くずれを防ぐ役割もあるので、革靴クリームを塗るためだけでなく、そもそも革靴を購入したときにセットで用意しておくのがオススメです。
馬気ブラシ
非常に柔らかい馬の毛を使用したブラシです。革靴の汚れを落とすときに使用するのはこのブラシです。
リムーバー
革靴にしみ込んだ汚れを拭き取るために使用します。
布(不織布)
革靴を磨くときに使用する布です。不織布がおすすめです。
豚毛ブラシ
革靴クリームを塗った後でブラッシングするときに仕様するブラシです。毛にクリームが付着しても毛が寝てしまわない、ほどよい硬さが特徴です。馬毛ブラシと違って、そこまで大きいサイズである必要がありません。
必要な物をまとめて購入! 革靴ケアグッズのスターターキット
1つ1つ買いそろえようとすると、結構面倒くさいのが革靴ケアグッズ。
使っているうちに「もっと大きなブラシが欲しいな…」というのもやってみないと気付くこともできません。まずは試しに、このセットで革靴ケアに慣れてみるのもオススメですよ。
クリームの種類 | 乳化性クリーム、布、豚毛ブラシ、小ブラシ、馬毛ブラシ、竹ようじ、リムーバー、収納箱 |
あとがき
以上、革靴クリームの選び方やおすすめの商品などなど紹介しました。
参考になりましたでしょうか?
「いちいち革靴クリームを塗るなんて面倒くさいなぁ」なんて思いきや、慣れると意外と楽しいものです。
最初は気にならないと思うのですが、次第に、ふと自分の革靴が目に入った時
「(なんか曇ってきたな、、、そろそろ磨き時かな)」
なんて磨きたくなる欲が出てくると思います。
天然皮革の革靴となると、それなりの価格になるものがほとんど。折角購入した革靴です。長く綺麗に楽しむことにしましょう。
『紳士のシャツ』編集部の玄木でした。
ではでは。