数ある革靴デザインの中でも、″革靴の上品さ”と″普段履きとしての気軽さ”のバランス感が抜群にいいのは、やはり「Uチップ」でしょう。
装飾が無い……訳ではないけれど、華やかというほどでもない。
カジュアル……なんだけど、ビジネスシーンでもギリギリ履けるぐらいのドレス感はある。
器用貧乏。そんな風に表現することもできるでしょう。
しかし、このどっちつかずの印象が、すごく丁度いいのです。


今回の記事では、そんな特徴があるUチップにフォーカスして、基本知識やおすすめモデルを解説・紹介していきます。
「革靴だけど、冠婚葬祭ではける?」
「おすすめモデルとかって、あるの・・・?」
などなどの疑問をお持ちの方のお手伝いができれば、幸いです。
CONTENTS
Uチップとは?
まず初めに、Uチップの基礎知識について解説していきます。
つま先に「U字」の装飾がある革靴の総称
「Uチップ」とは、つま先部分にU字の装飾がある革靴の総称です。

名称のバリエーションが非常に多く、「エプロン・フロント」や「ノルウィージャン」「モカシン」などなど、国やメーカー・ブランド毎に様々な呼ばれ方をしています。
中にはU字の部分が角ばっているタイプ(店舗・ブランドによってはVチップと呼ぶ)も存在しますが、それも同じUチップとして扱われています。
ビジネスとカジュアルで活躍する、絶妙な装飾加減
ご覧の通り、Uチップは「プレーントゥ」と呼ばれる革靴ほどシンプルでもなければ、「ウィングチップ」と呼ばれる革靴ほど華やかでもありません。
しかし、だからこそ
- 堅苦し過ぎない
- 力を抜きすぎない
- 派手過ぎない
という三拍子が揃った絶妙なファッションアイテムとして、活躍してくれるのです。

ビジネスシーンではジャケパンなど、ビジネスカジュアルなスタイルと相性抜群。一方のカジュアルでは、足元に合わせるだけでも「お洒落に気を使っている」感が演出できます。

起源は、狩猟やゴルフで愛用されたカントリーシューズ
Uチップは、今でこそドレスシューズの1つとして活躍していますが、その起源はカントリーシューズにあると言われています。
カントリーシューズ。つまり″田舎道を歩くのに適した靴”というワケです。

流通しているUチップの多くが、ガッシリ・タフなシルエットで仕立てられているのは、こういった背景もあるからなんですね。
ちなみに、フランスでは狩猟靴として。アメリカではゴルフシューズとして。各国独自の愛用の形があり、今に至っています。

足にフィットしやすい外羽根がスタンダード
「Uチップ」という名称は、厳密にはつま先のデザインを指す言葉です。
昨今、Uチップのスタンダードとして広く親しまれているのは「外羽根Uチップ」と呼ぶべきモデル。
Uチップのつま先に、「外羽根」の足の甲デザインが組み合わさったものなんですね。
そのため、Uチップには外羽根以外にも「内羽根」や「モンクストラップ」「ローファー」といった様々な足の甲デザインと組み合わされたものがあります。
Uチップのスタンダード、外羽根Uチップ
Uチップと外羽根の組み合わせ。Uチップとしては一番スタンダードなタイプといえます。

外羽根は元々軍用靴のために開発・採用されたといわれており、幅広い足の形にフィットしやすいという特徴があります。
1番フォーマルな、内羽根Uチップ
Uチップと内羽根の組み合わせ。Uチップの中では1番フォーマル度が高いタイプです。

内羽根は、イギリスのバルモラル城で開発・愛用されていた宮廷靴にルーツがありますフォーマル度が高いのはこの歴史的背景も関係しています。
フォーマル度が高い一方で、許容できる足の高さに限界があるため、足の甲が高いタイプの人が着用すると「紐を緩めても痛い…」といった自体が起こりえます。
なかなか見かけないレア、モンクストラップUチップ
Uチップとモンクストラップの組み合わせ。あまり見かけないレアタイプです。

モンクストラップは、その名の通りモンク(修道士)が着用していた靴にルーツがあり、紐の代わりにベルト&バックルで締まりを調節します。
バックルは金属素材であることが多く、そのため、金属パーツが他の組み合わせには無いエレガントな印象を引き立ててくれます。
ローファーとして御馴染み、ローファーUチップ
ローファーとして定番である″この(↓)モデル”も、Uチップの1つと言えます。

靴ひもを解かずとも脱ぎ履きできるラクさは、やはり代えがたいもの。ただし、その分靴ひもを締めてサイズの違いをカバーすることもできないので、靴を購入するときは、他のタイプより一層サイズ感にこだわりたいところではあります。
おすすめ外羽根Uチップ9選
さて、Uチップの基礎知識をおさえたところで、おすすめのUチップモデルを紹介します。
今回はスタンダードな外羽根Uチップを全部で9モデル、集めてみました。
実際に購入するときの参考にしてもらえれば幸いです。
※掲載している価格などの情報は、2020年10月1日時点でのものとなります。
日本製革靴の王道が仕立てる、ドレスUチップ
軽さと屈曲性に優れる「ステッチダウン式製法」を採用しているたえ、歩き心地も◎。
加えて、ステッチダウン式製法の特徴でもある、アッパー(足の甲を包む部分)の革が、そのまま剥き出しになっているため、素朴な風合いもいい感じです。
日本製革靴にこだわりがある方は是非、お試しください。
アッパー(足の甲を包む部分)の素材 | 天然皮革(牛革) |
ブランド | REGAL(リーガル) |
特徴 | 日本製革靴、軽量性、屈曲性 |
登山靴にも採用される手法で県労政を上げた、フランスのUチップ
本来のカントリーブーツらしさ満載で、ガッシリとした外見が特徴です。
登山靴にも採用される「ノルヴェイジャン・ウェルト製法」を採用しすることで堅牢性も抜群。
ソールは、パラブーツ自身が製造しているオリジナルラバーソールを採用しています。
アッパー(足の甲を包む部分)の素材 | 天然皮革(カーフレザーLisse) |
ブランド | Paraboot(パラブーツ) |
特徴 | フランス製(老舗)、ブランドオリジナルのゴムソール |
革靴の見た目×スニーカーの履き心地で仕上げた、お手軽価格のUチップ
革靴の外見とスニーカーのソールを合体させた、いわゆる“革靴スニーカー”なので、非常に快適な履き心地に仕上がっています。
本格革靴と比べてしまうと、ソールが少々分厚くカジュアルになっているため、普段履きやジャケパンとの相性が抜群ですよ。
アッパー(足の甲を包む部分)の素材 | 天然皮革(牛革) |
ブランド | texcy luxe(テクシー・リュクス) |
特徴 | 革靴の見た目×スニーカーの履き心地、お手軽価格 |
ワークブーツブランドの、ドレスライクなUチップ
つま先に丸みを持たせることで、上品な(ドレッシーな)印象のカジュアルシューズとして仕上げています。
普段履きとして再液です。
グリップに優れたラバーソールを前面に採用しているため、多少の雨でも問題なし。
ちょっとこだわった一足が欲しいときにオススメです。
アッパー(足の甲を包む部分)の素材 | 天然皮革 |
ブランド | KLEMAN(クレマン) |
特徴 | 丸みを帯びたカジュアル向けトゥ |
オンオフ活躍するUチップのスエードモデル
スエードレザーを採用することで、大人らしいカジュアルな印象に仕上がっています。
靴底には雨天のアスファルトでも滑りにくいダイナイトソールを採用。防滑性を高めつつ、ソールがそれほど分厚くならないため、ドレス感もキープしてくれます。
マットな生地感で、休日のコーデを上品に飾りたい方にオススメです。
アッパー(足の甲を包む部分)の素材 | 天然皮革(スエード) |
ブランド | Berwick(バーウィック) |
特徴 | スエードモデル、革靴を育てていく体験 |
深さ3cmの水たまりに6時間耐えられる、雨の日の頼もしいお供
防水性だけでなく、防滑性や防臭性もカバーするなど、とにかく雨天の足元をケアしてくれる一足。アッパー(足の甲を包む部分)は合成皮革なので、革靴クリームの塗り直しも不要。
価格もかなりお手軽に設定されているため、雨の日の懐刀としていかがでしょうか。
アッパー(足の甲を包む部分)の素材 | 合成皮革 |
ブランド | TAKEZO(タケゾー) |
特徴 | 3cm浸水に6時間耐える防水性 |
歩きやすさにフォーカスしたシリーズのUチップエディション
ソールのクッション材を追加するだけでなく、履き口周りにもクッションを仕込むことで、足が痛くならないように配慮されています。
シルエット自体はビジネスでも着用できるようになっているため、ジャケパンとの組み合わせを考えている方にオススメです。
アッパー(足の甲を包む部分)の素材 | 天然皮革 |
ブランド | REGAL WALKER(リーガル・ウォーカー) |
特徴 | 革靴スニーカー、クッション性◎ |
ハンドメイド仕立ての本格革靴Uチップ
昨今の革靴のほとんどが機械を利用したマシンメイドで生産されている中で、ジャランスリウァヤは今も伝統的なハンドメイドを採用しています。
ハンドメイド特有の柔らかい履き心地を、4万円代で手に入れられるのは破格といえます。
職人の手仕事にこだわりがある型にはオススメといえますね。
アッパー(足の甲を包む部分)の素材 | 天然皮革 |
ブランド | Jalan Sriwijaya(ジャランスリウァヤ) |
特徴 | 職人の手仕事、本格革靴 |
歩きやすさと耐雨性を高めた一足
雨天の通勤でも安心できる防水性や防滑性は勿論、防臭性や衝撃吸収システムなどを採用することで、普段の歩きも徹底的にケアしています。
靴としては手ごろな価格帯なので、筆者・玄木も、新社会人のころはよくお世話になっていたブランドです。
アッパー(足の甲を包む部分)の素材 | 防水レザー |
ブランド | HYDRO-TECH(ハイドロテック) |
特徴 | 防水性と歩きやすさを徹底ケア、お手頃価格 |
あとがき
以上、革靴デザインの1つ「Uチップ」の基本知識とおすすめモデルを紹介・解説しました。
参考になりましたでしょうか?
普段履きとして革靴をチョイスすると、「どうしても、何か堅苦しくなってしまう」というキッチリ感の行き過ぎが起きてしまうもの。
そんなときに、実に丁度いいドレス感があるUチップなら、他の革靴デザインだとしっくりこないシチュエーションにバッチリハマってくれるのではないでしょうか。
以上、『紳士のシャツ』編集部の玄木がお送りしました。
ではでは。