起源を辿れば、古代ローマ時代にまで遡ることができるとも言われる「ワイシャツ」。
その長い歴史の中で、それはまぁ多種多様な“えり型”が登場してきました。
自分でシャツのディティールを決められるオーダーシャツ店では、数十種類のえり型が選択肢として用意されていることもあるぐらいです。
ただ、種類があるということは、それぞれに役割や特徴があり、得手・不得手があるということ。
その違い、分かりますか?
ワイドカラーとカッタウェイカラーを使い分けるポイント、ご存知ですか?
袖を通さない日はあっても、目にしない日は無いとも言えるワイシャツ。
だからこそ、惰性で選んでいたり、そもそも意識していないことも多いのではないかなと思います。
そんなわけで、今回の記事は「ワイシャツのえり型」にフォーカスしてその基本知識やおすすめブランドを紹介していきます。
「毎日着るけど、この襟が何なのかイマイチ自信がない」
「結局、どのえり型が流行りなの?」
そんな疑問をお持ちの方の手助けができれば、嬉しいです。
えり型の違いは「えり羽」に注目
では早速、えり型の違いについて解説していきます。
ワイシャツのえり型の違いとは即ち、「えり羽(えり羽根)」と呼ばれるパーツの違いです。
写真のえり羽が大きく開いていたり、えり羽の先端にボタンがついていたり・いなかったり、そういった違いがえり型の違いに通じてきます。
現在主流の“えり型”は5種
次に、現在主流とされている、ワイシャツの襟(えり)型を紹介していきます。
2-1. スタンダードな、レギュラーカラー
えり型の中で、えり羽が75~90°開いているものは「レギュラーカラー」と呼ばれています。
現在主流のえり型の中で最も流通量が多いのはこれ。TPO的にNGなシーンがほぼ無いため、ビジネスから冠婚葬祭で、迷ったらこのレギュラーカラーを選びましょう。
えり羽の開きが小さいため、正面から見た時に一番えり羽の存在感が出るえり型でもあります。
ネクタイを結ぶ時は、結び目が縦に長くなる「プレーンノット」や「ダブルノット」がオススメ。
2-2. 英国クラシックな、ワイドカラー
次に紹介するのは、レギュラーカラーよりも少しえり羽の開きが大きく(100~120°)なった「ワイドカラー」です。
えり型の中で最もクラシックなものと言われ、“ウィンザー公”ことエドワード8世が好んで着用した歴史から、ウィンザーカラーとも呼ばれる。
レギュラーカラーと同じように、TPO的なNGはほとんどないので、迷った時の頼れる見方②といえます。
レギュラーカラーよりも開きが大きいため、ネクタイを結ぶときは、結び目が横に広がる「ウィンザーノット」や「セミウィンザーノット」との相性が◎。勿論、プレーンノットでも大丈夫ですよ。
2-3. クールビズで大活躍な、ボタンダウンカラー
えり羽根の先端をボタンで留めている、えり型は「ボタンダウンカラー」と呼びます。
アメリカを象徴するブランド『ブルックス・ブラザーズ(Brooks Brothers)』によって開発されました。
ポロ競技のユニフォームに着想を得て開発されたという歴史的背景があるため、ボタンダウンカラーのシャツは本来、仕事では着用できないカジュアルなものとされていました。
今も、冠婚葬祭や重要な会議(特に年配の方と同席する場合)での着用はNGとされていますが、ビジネススタイルがカジュアル化した現在は、普段のビジネスシーンでも問題なく着用できます。
第一ボタンを外しても、えりの立体感がキープされやすいため、ノーネクタイが推奨されるクールビズとの相性が抜群です。
2-4. 太めのネクタイと相性◎な、カッタウェイカラー
えり羽の開きが180°に近いものは「カッタウェイカラー」と呼ばれます。えりのカーブが水平に見えることから、ホリゾンタルカラーと呼ばれることもあります。
第一ボタンを外した時に、えり羽が左右に大きく開きやすいため、ノーネクタイで着用すると首周りが非常にスッキリするのが特徴。
クールビズ時には、ボタンダウンカラーと同じように大活躍してくれますよ。
なお、ボタンダウンカラーほどではないのですが、カジュアルなえり型と認知されているため、冠婚葬祭での着用は避けましょう。
2-5. タキシードや燕尾服で必須な、ウィングカラー
燕尾服やタキシードを着用しなくてはいけない「正礼装」での必需品となるのが「ウィングカラー」。翼を広げたように見えることから、そう名付けられています。
なかなか着用するシーンはありませんが、いわゆる“最もフォーマルなえり型”であるため、知識としておさえておきましょう。
シーン毎にえり型を使い分けよう
主要なえり型をおさえたところで、シチュエーション別に着用したいえり型を解説していきます。
ビジネスシーンの基本原則は、レギュラーorワイド
ビジネスシーンと相性がいい襟(えり)型は、レギュラーカラーとワイドカラーです。この2択が基本にして定番です。
昨今はビジネススタイルのカジュアル化も進んでいて、ボタンダウンやカッタウェイを着用しても、そこまで問題にはなりません。
ただ、カジュアルなシャツだと知っていて着用するのと、知らないで着用するのとでは違ってきますので、その点はしっかりおさえておいてくださいね。
また、固めの職種だと、暗黙の了解的にフォーマルな襟型(レギュラーカラーやワイドカラー)が必須ということもあるかもしれません。
新社会人の方は特に、先輩に確認してみるなどしてくださいね。
クールビズではボタンダウン&カッタウェイが大活躍
ノーネクタイのハードルが下がるクールビズでは、ノーネクタイでもキチっと見えるボタンダウンやカッタウェイがオススメです。
勿論、レギュラーカラーやワイドカラーもNGではありません。ただ、レギュラーカラーとワイドカラーはネクタイを結ぶスタイルが前提になっている部分もあるため、どっちのほうがバランスがいいかというと、ボタンダウンなどの方がオススメです。
カジュアルシーンは、ボタンダウンorカッタウェイで軽やかに
ドレスシャツでありながら、フォーマルシャツほど堅苦しくもない。そういった意味で、ボタンダウンカラーとカッタウェイカラーは、休日にキチッと見せたい身だしなみに最適といえます。
準礼装のフォーマルは、レギュラーorワイド
冠婚葬祭などの席ではレギュラーカラーとワイドカラーが適切。ボタンダウンカラーとカッタウェイカラーはNGなので、止めておきましょう。
ちなみに、なかなか機会が少ないとは思いますが、燕尾服やタキシードを着用する正礼装の席ではウィングカラーを着用しなければなりません。まさに最上級のフォーマルさが求められるワケです。
また、結婚式の二次会といったシーンでは、ボタンダウンカラーとカッタウェイカラーがおすすめです。キチッと整えつつも、畏まる席ではない。そんなときにピッタリなのです。
小顔に見せるための、えり型選び
よく耳にする「小顔効果」とは、“顔の近くに大きい物があると、相対的に顔が小さく見える”という錯覚を利用した効果です。
ワイシャツのえり型選びでも、この小顔効果を狙うことは出来ます。
具体的には
- えり羽根が大きい
- 首を隠さない
- 太い幅のネクタイと相性がいい
以上のどれかの条件を満たせば小顔効果が発動できるといえますね。
1. えり羽が大きい、レギュラーカラー
1つめの条件を満たすのは、レギュラーカラー。えり羽の開きが小さいので、正面からみたとき、えり羽のほぼ全てが視界に入るためです。
2. ノーネクタイでのボタンダウンカラー&カッタウェイカラー
2つめの条件を満たすのは、ノーネクタイでのボタンダウンカラー&カッタウェイカラーです。
「第一ボタンを外すと、えり羽根が顔から離れていく気がするけど」と思った方、正解でございます。
ここでのポイントは、えり羽よりもさらに顔に近い首が、しっかりと視界に入ること。首が詰まって見える=首の露出面積が小さいと、小顔効果の逆が起こって、顔が大きく見えてしまうのです。
3. 太い幅のネクタイと相性がいい、ワイドカラー&カッタウェイカラー
3つめの条件を満たすのは、ワイドカラーとカッタウェイカラー。
どちらもえり羽が開き気味なので、えり羽そのものでは小顔効果を狙えません。しかし、この2つは、幅の広いネクタイと好相性という特徴があります。
幅の広いネクタイは結ぶと必然的に、結び目が大きくなります。
この大きい結び目の存在感が、相対的に顔を小さく見せてくれる、という訳です。
おすすめワイシャツブランド5選出
以上、ワイシャツのえり型の違いについて解説しました。
ここからはオススメのワイシャツブランドを紹介していきます。
実際にワイシャツを選ぶときの参考にしてもらえたら幸いです。
※掲載している価格などの情報は、2020年9月25日時点でのものとなります
百貨店の1万円越シャツに比肩するクオリティを、7,000円代で!!
百貨店で並ぶ1万円越えの高級シャツと同じディティールの細やかさがありつつ、企画から生産まで自社でまかなうことでコストカット。非常にコスパのいい価格での販売に成功しています、
自宅での選択後、ハンガーにかけて手でシワを伸ばすだけで、かなりのシワがとれる、防シワ性も嬉しいポイントです。
えり型 | ワイドカラー |
胸ポケット | なし |
生地の組成 | 綿 70%、ポリエステル 30% |
アイロン不要!! 日本国内最高レベルの楽ちんシャツ
ワイシャツには、洗濯した後のシワの残り具合を数値化したJIS規格があり、i-Shirtsは業界で唯一、最高レベルのレベル5に認定された実績があります。
強い耐シワ加工がされており、「アイロンがけは、逆にやった駄目」とアナウンスがあるほど。
洗濯後のシャツの残りジワにいつも苦しんでいる人にはオススメです。
えり型 | 選択肢の中に、レギュラー、ワイド、カッタウェイ、ボタンダウン、あり |
胸ポケット | あり |
生地の組成 | ポリエステル 100% |
競技ウェアの動きやすさ・疲れにくさを搭載したドレスニットシャツ
プロアスリート選手の競技ウェアに採用されているのと同じ技術「動体裁断®」が採用されています。
とにかく着ていて疲れない・身体の動きを妨げないよう仕立てられているため、「まるで何も着ていない気もする」といわれるほどストレスフリーな着心地が特徴です。
目の前のお仕事にもっと気持ちよく集中したい人向けの一品といえますね。
えり型 | ボタンダウンカラー |
胸ポケット | あり |
生地の組成 | 綿 59%、ポリエステル 41% |
お手軽価格でハイクオリティ! 綺麗に身体にフィットする1枚
いわゆるお値段以上に見える「高見えシャツ」の1つ。 ジャージ素材を採用しているため、生地に伸縮性があり、着心地も悪くありません。
素材には最近話題の最高級コットン「超長綿」を選ぶことで、しなやかでシルクのような風合いが体感できます。
えり型 | ワイドカラー・クレリック |
胸ポケット | あり |
生地の組成 | 超長綿 100% |
ボタンダウンカラーの生みの親、本家本元ブルックスブラザーズのポロカラーシャツ
ポロカラーと聞くと、聞き覚えが無いのですが、要はボタンダウンシャツのこと。
ブルックスブラザーズは「ポロ競技のユニフォームから生み出したシャツ」という歴史的背景を大切にしていて、今もボタンダウンカラーのことをポロカラーと呼んでいるのです。
独自加工を施すことでコットン割合が多い生地でも、ほとんどシワニならない特徴があります。
えり型 | ポロカラー(ボタンダウンカラー) |
胸ポケット | あり |
生地の組成 | 綿 97%、ポリウレタン 3% |
あとがき
以上、ワイシャツの“えり型の違い”を解説しました。
参考になりましたでしょうか?
毎日着るもの。惰性で選んでも、そんなに問題がないもの。
それがワイシャツです。
だからこそ、ワイシャツに対する認識の解像度を上げることで、すれ違うワイシャツのちょっとしたディティールが楽しめる。
そんなシャツライフも悪くないと思いませんか?
以上、『紳士のシャツ』編集部の玄木がお送りしました。
ではでは。